上手な医療のかかり方に関する情報を発信していく厚生労働省の公式ウェブサイトです。

「上手医療かかり方」6部門受賞インタビュー

「上手な医療のかかり方」6部門受賞インタビュー

企業部門

MSD株式会社

《プロジェクト》

自治体と「MSDマニュアル」の連携による外国人の
上手な医療のかかり方支援

大村 雅之様

メディカルアフェアーズ部門大村 雅之

受賞ポイント

プロ向けと一般向けが分かれていて、検索するのに便利なサイトである点を評価

在日・訪日外国人が安心して適切な医療受診を受けられるツールとなっている

外国人が安心して医療を受けられる情報やサービスを

事業の概要と特徴を教えください。

 自治体と連携し、外国人の方が日本で安心して医療を受けるために必要な情報やサービスを網羅して届けるという取り組みです。横浜市や川崎市とは、医療通訳サービスや、11言語の無料デジタル医学事典「MSDマニュアル」など、外国人が救急時や受診の際に役立つ様々な情報を網羅した4ページのリーフレット「メディカルガイド」を英語、中国語、韓国語などで共同製作し、両市の医療機関や公共施設で無料配布しました。川越市とは、外国人観光客の熱中症予防を目的とし、熱中症の注意喚起とMSDマニュアルを含む医療情報へのリンクを掲載した多言語の団扇を共同製作しました。さらに川崎市と川越市は、両市の医療関連情報のウェブサイトにMSDマニュアルへのリンクを設置し利便性を向上しました。

「MSDマニュアル」は、弊社が1899年から120年以上にわたって継続している、信頼できる医学情報を共有するための非営利の社会貢献事業です。様々な病気の説明、応急手当、症状別の受診のタイミング等がどなたでも読める無料の医学事典です。現在はウェブとアプリでご利用いただけます。

外国人が安心して医療を受けられる情報やサービスを様

横浜市との連携協定が取り組みのきっかけに

取り組みを始めるに至ったきっかけ、経緯などをご紹介いただけますか?

 横浜市とは、この取り組み以前の2018年より、市民に医療に関する関心やリテラシーを高めてもらうことを目的とした連携協定を結んでおり、この流れで外国人の方にも取り組みを進めることになりました。国内ではグローバル化に伴い、外国人医療が課題となっていますが、横浜市の皆様や、外国人医療に詳しい専門家とのコミュニケーションを通じて、11言語のMSDマニュアルだからこそ貢献できることがあることに気づき、今回の取り組みが始まりました。横浜市との取り組みが好評だったこともあり、他の自治体とも取り組めないかと考え、東京周辺で外国人の居住者が多く、オリンピックでの来訪者も多く見込まれる自治体を中心にお声がけしたところ、趣旨に強く賛同された川崎市と川越市とも一緒に取り組めることになったというのが経緯です。

横浜市との連携協定が取り組みのきっかけに

自治体との連携の実現までの長い道のり

プロジェクトを0から企画されて実施されるのは、かなり大変だったのではないかと思うのですが、 苦労したところなどがあれば伺えますか?

 横浜市については連携協定を結んでいたことで比較的スムーズでしたが、その他の自治体では企業との連携にハードル があり少し時間がかかりました。今回の3市以外にもいくつかの自治体でも検討いただきましたが「日本に住んでいたり 訪れる外国人に母国語で適切な医療情報を届けたい」という趣旨には賛同されても民間企業と一緒に取り組むことについ て難しい部分があったようです。しかし今回の3市はそのハードルを乗り越え外国人の皆様のために弊社との連携を実現 していただくことができました。

自社の社会貢献施策とアワードの趣旨に共通点

「上手な医療のかかり方アワード」に応募されたきっかけは何だったのでしょうか?

 私たちは、MSDマニュアルを日本で一人でも多くの方に有効に活用していただき、国内の医療課題の解決に貢献できることはないかと考え、情報収集を続けてまいりました。ですから、「上手な医療のかかり方」の懇談会の活動は報道で見聞きしていましたし、アワードについてもインターネットで知ることができました。「上手な医療のかかり方アワード」の趣旨はMSDマニュアルの活動の目的と共通する部分が多いと感じています。特に今回の自治体との取り組みは、アワードの趣旨と一致していると思いましたので、応募しました。

新たな協業に向けた出会いのきっかけにも

第二回「上手な医療のかかり方アワード」で表彰されたことによりどんなポジティブな変化が起こり ましたか?

 受賞について、プレスリリースやSNSで発信しましたので、より多くの皆様にMSDマニュアルやMSD株式会社について知っていただく機会になったと思います。MSDマニュアルは120年以上続いている、弊社の企業姿勢や社員の想いを体現する事業のひとつでもありますので、社員にとっても受賞は喜ばしいことだったと思います。今回の受賞は社内ウェブサイトを通じて全世界の社員に伝えられました。また、受賞を知った他の団体から協業に向けたお声がけをいただくなど、新たな出会いやアイディアが生まれるきっかけにもなることを実感しました。

産官学の垣根を越えたコラボレーションに期待

今後の「上手な医療のかかり方」の取り組みに向けての抱負をお願いします。

 MSDマニュアルは、日本人の皆様の「上手な医療のかかり方」をサポートするツールとして、日本語版の内容をさらにわかりやすく改善する予定ですのでご期待ください。また、私たちは引き続き産官学の垣根を越えて連携し、人々に貢献をしていきたいと思っています。自治体に限らず様々な団体とのコラボレーションを考えていきたいと思いますので、ぜひ弊社やMSDマニュアルとの連携に関心のある方は、お気軽にお声がけいただけますと嬉しいです。

互いのベストプラクティスを学び、さらなる発展へ

「上手な医療のかかり方アワード」への応募を検討されている方に一言メッセージをお願いします。

 このアワードは、他の団体の取り組みを知り、ベストプラクティスを学び合えるよい機会だと思います。取り組みをさらに発展させたり、新しい連携が生まれるきっかけにもなると思いますので、是非、迷わずに応募されることをお勧めします。