上手な医療のかかり方.jp

上手な医療のかかり方に関する情報を随時発信していく厚生労働省の公式ウェブサイトです。

厚生労働省は、医療機関へのかかり方の改善につながる
優れた取り組みを奨励し広く普及することを目的に開催する、
第六回『上手な医療のかかり方アワード』で、
このたび3団体の受賞を決定いたしました。

六回目となる今回は、全国21団体からの応募があり、
有識者などによる審査委員会における審査を経て、
厚生労働大臣賞 最優秀賞に1団体、
厚生労働省 医政局長賞に2団体をそれぞれ選定しました。

受賞団体の取組概要、事例集を是非ご覧ください。

※「上手な医療のかかり方アワード」とは
厚生労働省が、上手な医療のかかり方への貢献につながる優れた啓発活動・取り組みを表彰するアワードです。
保険者、医療関係者、企業、民間団体、自治体など、多数の方々より広く取組を募集し、好事例として表彰しています。

厚生労働大臣賞 最優秀賞

団体名:
横浜市立大学医学部YDC
取組名:
横浜市民に向けた医療についての啓発活動
取組概要:
「体験型の授業で楽しく学び、実際に使える知識に」

横浜市立大学医学部YDCは、横浜市立大学医学科・看護学科の学生からなる団体です。医療について知りたいという横浜市民のニーズを背景に、2010年の設立以来10年以上にわたって医療教育を行っております。
横浜市において市民の医療への関心は高く、市民アンケートでも横浜市政への要望の上位に「病院や救急医療など地域医療の充実」が入っています。しかし、今まで一般の方が医療について学ぶ機会はほとんどありませんでした。そこで私たちは、全ての人に、継続的に、医療について学んでもらうために、小中学校での授業を行おうと考え、この活動を始めました。
小中学校への訪問授業、オープンスペースを利用しての医療体験教室、大学での公開講座、金沢消防署との合同イベントなどを行っています。内容は、横浜市の医療の現状、医療機関の使い分け、感染症、熱中症、BLS(Basic Life Support)など多岐にわたります。
特徴は体験型の授業であることで、実際に人形に胸骨圧迫をしたり訓練用AEDを使ったりします。また、グループワークや問いかけも行います。

このような医学に関する授業や体験に加え、私たち医学部生がなぜ医療関係の道を選んだのか、についてお話しするキャリア教育にも取り組んでいます。限られた時間で行われる授業ではどうしても伝えきれない内容が出てしまうので、授業後にはパンフレットを配布しています。YDCが特に市民の方々に知ってほしいと考えている、医療機関の使い分けについて説明し、#7119などの情報も記載しています。

厚生労働省医政局長賞上手な医療のかかり方における
総合的な制度設計が優秀な取組

団体名:
兵庫県 豊岡保健所
取組名:
市民が参画した医療計画を作ろうー概要版を全戸配布する試みー
取組概要:
「やさしい医療計画」で広がる住民の行動力

本プロジェクトは、兵庫県第8次医療計画(圏域計画)を作成するにあたって、住民の参加を促した複合的なプロジェクトです。兵庫県では、保健所が主体となって、地域医療構想調整会議を運営しています。令和5年の調整会議では1年間かけて、全5回の会議を行い、医療計画を策定しました。ただし、医療計画自体が市民に知られていないという課題があったため、但馬の医療の現状と課題を知ってもらい、それに対してどのような対策が行われているか、対策案のうち自分たちができることはなにか知ってもらうことを目的に医療計画の概要版を作成し、圏域内に約6万世帯の全戸配布をしました。
概要版は、全12ページであり、デザイナーにも入ってもらい、できる限り住民にわかりやすいようなコミュニケーションを心がけました。
誰でもわかるという意味を込めて、「やさしい医療計画」と呼称しました。ロジックモデルを簡易化し記載しているほか、事業ごとに関係者である周産期医療センターの医師や助産師、在宅医療を担う医師などにインタビューなどを実施し、医療の現状や対策案の肌感を語ってもらっています。また市民にもできることをいくつか記載しています。ACP(人生会議)を行うことで、在宅医療や救急医療を守ることにもつながること、周産期において日常的にかかる外来といざというときの入院を医療機関ごとに使い分けることが周産期体制を守ることにつながること、可能な限りの日中受診やいざというときのために自分の周りの休日・夜間に受診できる医療機関を見つけておくことが救急医療を守ることなどを記載しています。他にも#8000や教えてドクター!といった受診の前に確認するアプリを紹介し、それらを使うことが適切な受診につながり、医療を守ることも記載しています。ロジックモデルに基づいて、自分たちが行動することで医療を作っていく担い手になることがわかるようにデザインを心がけました。最後のページにはこれらを家族や医療者、ご近所と読んで、感想を話し合い、自分たちにできることを書いてもらえるように記載欄を設けています。

厚生労働省医政局長賞上手な医療のかかり方における
優良なコンテンツの作成やナッジ等の取組

団体名:
パナソニック健康保険組合
取組名:
パナソニック健保流 医療サポート ~施策の連打で実現する健康社会~
取組概要:
「~レセプトデータを活用したお役立ち係の組織化~」

パナソニック健康保険組合の加入者数は27万人であり、特定健康保険組合を有しているため、65歳以上75歳未満の加入者が比較的多いという特徴があります。

2018年にレセプトデータを活用したお役立ち係を立ち上げ、加入者からのお薬相談を担当する薬剤師、第三者行為業務を担当する損害保険会社のOB、療養費の適切な受療促進を担う柔道整復師、そしてデータサイエンティストが協力し、加入者に応じた有益な情報提供と効果検証を行っています。

特に、近年はポリファーマシー通知に力を入れています。メンタル疾患を抱える患者様にも「健保組合はあなたを心配しています」という思いが伝わるよう、定期的に多剤投与や重複投与に関する通知をお送りしています。また、時間外受診や頻回受診、はしご受診を行う方々には、医療費の割増加算に関する情報を提供し、健康への薬物有害事象のリスクや残薬問題の解消についても継続して取り組んでいます。

これらの取り組みは、ホームページに随時掲載することで、加入者全体の健康リテラシー向上と医療現場の負担軽減に繋がるものと考えています。

(2024年度の主な取り組み)
 ◎ 時間外/頻回/はしご/多剤重複投与に関するお知らせ・・・約12,000件
  [効果見込] 行動変容率:72%、医療費削減効果額:70百万円
 ○ 長期収載品にかかる選定療養費のお知らせ通知・・・約5,000件×2回
 ○ OTC医薬品に代替可能な方へのセルフメディケーション通知・・・約10,000件
 ○ 療養費請求にかかる頻回通知・・・約800件
 ○ 柔整療養費における償還払い制度導入通知・・・約10,000件(2023年度)
 ○ 第三者行為による健康保険適用支援